本望ほんまう)” の例文
物語り然れば明後日はかねて本望ほんまう成就じやうじゆ仕つらんと云けるにお花は元來友次郎も雀踊こをどりして喜びこれひとへに大岡殿の仁心じんしんより出る處なりと南の方を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
南無冥加なむみょうがあらせたまへ! 多勢おほぜいそだてた嬰兒あかさんうちいっ可憐いたいけであったはおまへぢゃ。そのまへ御婚禮ごこんれいることが出來でくれば、わし本望ほんまうでござります。
かたちつてもこゝろけつしてるまいとめていたを、今更いまさらつてなん義理ぎりはり、惡人あくにんでも、いたづらでもかまひはい、おらずばおてなされ、てられゝば結句けつく本望ほんまう
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼は又急に嫉妬を感じ、彼女を4から奪はうとした。彼女も彼と馴染むことは本望ほんまうだつたのに違ひなかつた。しかしもうその時には幸福にも——或は不幸にもいつか4に愛を感じてゐた。
貝殻 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
これが、哥太寛こたいくわんふ、此家こゝ主人あるじたち夫婦ふうふ祕藏娘ひざうむすめで、今年ことし十八にる、哥鬱賢こうつけんうてね、しま第一だいいちうつくしいひとのものにつたの。和蘭陀オランダ公子こうし本望ほんまうでせう……じつそれのぞみだつたらしいから——
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「あなたのそばで死ねば、本望ほんまうだわ」と、云つた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
彼是と云れてはかへつて痛み入なり平に受納うけをさめらるべしと種々さま/″\に云ければ忠八今はがたく二包の金子を押戴おしいたゞさらば是にてお別れ申さんと云を佐太夫も止めかね呉々くれ/″\首尾能しゆびよく本望ほんまう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そのての反古ほごにてもへてたば本望ほんまうなるべく、めて一ふで拜見はいけんねがひたきなり、されども下賤げせんれ、いかやうおもふともおよびなきことにて、無禮ぶれいものとおしかりをければそれまで
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
討其手筋てすぢにて科人相知れ其身の本望ほんまう公邊かみへの御奉公神妙しんめうに思召幸之進かうのしん取れ候金子きんすの中四百兩相殘あひのこり候に付瀬川へ下さるゝ間はゝ諸共流浪るらう致さぬ樣取計らひつかはせと申渡され皆々みな/\有難ありがたき旨之を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
らぬこヽろうらみもせんくみもせん、そのくまるヽを本望ほんまうにての處爲しよゐもらひしふみ何處どこまでもしきに、ふうこそらぬ手文庫てぶんこめて、一しやうきはまではともとせんこヽろ、さりとては生先おひさきのある
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もこがすなる勿体もつたいなけれど何事なにごとまれお腹立はらだちて足踏あしぶみふつになさらずはれもらにまゐるまじねがふもつらけれど火水ひみづほどなかわろくならばなか/\に心安こゝろやすかるべしよし今日けふよりはおにもかゝらじものもいはじおさはらばそれが本望ほんまうぞとてひざにつきつめし曲尺ものさしゆるめるとともとなりこゑ
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)