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愛宕山
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あたごやま
ふりがな文庫
“
愛宕山
(
あたごやま
)” の例文
是
(
これ
)
しかしながら
汽車
(
きしや
)
がやがて
飛行機
(
ひかうき
)
に
成
(
な
)
つて、
愛宕山
(
あたごやま
)
から
大阪
(
おほさか
)
へ
空
(
そら
)
を
翔
(
かけ
)
る
前表
(
ぜんぺう
)
であらう。いや、
割床
(
わりどこ
)
の
方
(
かた
)
、……
澤山
(
たんと
)
おしげりなさい。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そのころ
愛宕山
(
あたごやま
)
の
麓
(
ふもと
)
には
仏蘭西
(
フランス
)
航空団とかいた立札が出してあったが、飛行機はまだ
今日
(
こんにち
)
の如く頻繁に空を走ってはいなかった。
枇杷の花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
JOAKのある
愛宕山
(
あたごやま
)
は、東京の中心、丸の内を、僅かに南に寄ったところに
在
(
あ
)
った。それは山というほど高いものではない。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
わび言をしてそこを出て飯を食いなどして、
愛宕山
(
あたごやま
)
でまた一日寝ていて、その晩は坂を下るふりをして、山の木の茂みへ寝た。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
柵の中は、左程広くもない運動場になつて、二階建の校舎が其奥に、
愛宕山
(
あたごやま
)
の
欝蒼
(
こんもり
)
した木立を
背負
(
しよ
)
つた
様
(
やう
)
にして立つてゐる。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
行手には
唐人
(
とうじん
)
の
冠
(
かむり
)
を見る様に一寸青黒い
頭
(
あたま
)
の上の頭をかぶった
愛宕山
(
あたごやま
)
が、此辺一帯の帝王
貌
(
がお
)
して見下ろして居る。
御室
(
おむろ
)
でしばらく車を下りる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
品川の海はいま深い夜の
靄
(
もや
)
に包まれて、
愛宕山
(
あたごやま
)
に傾きかけたかすかな月の光が、さながら夢のように水の面を照している。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
北に
保津川
(
ほづがわ
)
の一水を隔てて、
愛宕山
(
あたごやま
)
や龍ヶ嶽の諸峰をのぞみ、南は明神ヶ嶽、東は大枝山というふうに、山裾から山裾にかこまれている一盆地だ。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
門は直ぐ道路のペーヴメントに沿うて建てられてあったから、この入口から寺の玄関まで、およそ
愛宕山
(
あたごやま
)
の三分の一ほどの登り坂になるわけである。
褐色の求道
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「三月某日、芝
愛宕山
(
あたごやま
)
で奉納試合をするが、そのとき当道場からも参加して貰えますか」という申込みであった。
主計は忙しい
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
峠のものは
熊野
(
くまの
)
大権現
(
だいごんげん
)
に、荒町のものは
愛宕山
(
あたごやま
)
に、いずれも百八の
松明
(
たいまつ
)
をとぼして、思い思いの祈願をこめる。宿内では二組に分かれてのお
日待
(
ひまち
)
も始まる。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「何某の
大店
(
おおだな
)
の表看板を打ち
毀
(
こわ
)
して、芝の
愛宕山
(
あたごやま
)
へ持って行ってあったそうな。不思議なこともあるものだ」
幕末維新懐古談:18 一度家に帰り父に誡められたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
愛宕山
(
あたごやま
)
の
太郎坊
(
たろうぼう
)
、夜な夜なわがもとに忍んで極意秘術を
授
(
さず
)
けるといい広め、そこで名づけたのがこの
微塵流
(
みじんりゅう
)
。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
五日は仙台市の祝勝日で、この朝、十時、
愛宕山
(
あたごやま
)
に於いて祝砲一発打揚げたのを合図に、全市の工場の汽笛は
唸
(
うな
)
り、市内各駐在所の警鐘および社寺
備附
(
そなえつ
)
けの
梵鐘
(
ぼんしょう
)
、
鉦太鼓
(
かねたいこ
)
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
今の芝公園と
愛宕山
(
あたごやま
)
の
界
(
さかい
)
のところを「切通し」という、昼間から
宵
(
よい
)
の口までは相当賑であったが、夜が
更
(
ふ
)
けると寂しくなり、辻斬などもしばしば行われた、翁は子供心に
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
かれは反対に
陸
(
おか
)
の方角を仰いで、あたかも
愛宕山
(
あたごやま
)
あたりの空を示しているのであった。
半七捕物帳:32 海坊主
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
八九 山口より柏崎へ行くには
愛宕山
(
あたごやま
)
の
裾
(
すそ
)
を
廻
(
まわ
)
るなり。
田圃
(
たんぼ
)
に続ける松林にて、柏崎の人家見ゆる辺より
雑木
(
ぞうき
)
の林となる。愛宕山の
頂
(
いただき
)
には小さき
祠
(
ほこら
)
ありて、
参詣
(
さんけい
)
の路は林の中にあり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
伏見に部屋を見つけるまで、隠岐の別宅に三週間ぐらい泊っていたが、隠岐の別宅は
嵯峨
(
さが
)
にあって、京都の空は晴れていても、
愛宕山
(
あたごやま
)
が雪をよび、このあたりでは毎日雪がちらつくのだった。
日本文化私観
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
しかし
愛宕山
(
あたごやま
)
から見ると品川の沖がこの一寸のなかに
這入
(
はい
)
ってしまう。明治の四十年を長いと云うものは明治のなかに
齷齪
(
あくせく
)
しているものの云う事である。後世から見ればずっと縮まってしまう。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「うん、おれは
愛宕山
(
あたごやま
)
の
茨木童子
(
いばらぎどうじ
)
だ。
毎晩
(
まいばん
)
ここへ出て人をとるのだ。」
羅生門
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
このオーケストラは、
弗
(
ドル
)
の国アメリカ国内をはじめ、欧州各地から各楽器奏者を
弗
(
ドル
)
の力で集めた全く独立した優秀楽団で、日本の
愛宕山
(
あたごやま
)
のオーケストラのような新響の別働隊とは全く類を異にする。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
五条の橋から遥に
愛宕山
(
あたごやま
)
を望むと、恰も熔鉱炉の底から煽り上る熱気に似た
陽炎
(
かげろう
)
が麓に打ち煙って、遠くの野や林はもやもやと霞に曇り、近い町々の
甍
(
いらか
)
や石垣や加茂川の水は、正視するに忍びない程
恐怖
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「ええ。一しょに
愛宕山
(
あたごやま
)
に泊まっているの」
普請中
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
藪入やよそ目ながらの
愛宕山
(
あたごやま
)
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
愛宕山
(
あたごやま
)
、茶店。
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
愛宕山
(
あたごやま
)
の上では、暗黒の中に、高射砲が鳴りつづいていた。照空灯が、水色の
暈光
(
うんこう
)
をサッと上空に
抛
(
な
)
げると、そこには、必ず敵機の
機翼
(
きよく
)
が光っていた。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
試
(
こころみ
)
に初めて
袷
(
あわせ
)
を着たその日の朝といわず、昼といわず、また夕暮といわず、
外出
(
そとで
)
の折の道すがら、
九段
(
くだん
)
の坂上、
神田
(
かんだ
)
の
明神
(
みょうじん
)
、
湯島
(
ゆしま
)
の
天神
(
てんじん
)
、または芝の
愛宕山
(
あたごやま
)
なぞ
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
なから舞いたりしに、
御輿
(
みこし
)
の
岳
(
たけ
)
、
愛宕山
(
あたごやま
)
の
方
(
かた
)
より黒雲にわかに
出来
(
いでき
)
て、
洛中
(
らくちゅう
)
にかかると見えければ、——
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あなたは、誰かへ書いて与えた詩に、亀山城の北にある
愛宕山
(
あたごやま
)
を、
周山
(
しゅうざん
)
に
擬
(
なぞ
)
らえ、御自身を周の武王に比し、信長公を
殷
(
いん
)
の
紂王
(
ちゅうおう
)
となしたようなことはありませぬか
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
岸本の下宿のあるところから
愛宕山
(
あたごやま
)
へは近かった。そこへ子供を連れて行く折なぞは、泉太や繁が父と一緒に歩き廻ることを楽みにするばかりでなく、君子までも嬉しそうに
随
(
つ
)
いて来た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
忽然
(
こつぜん
)
として立って人にいって曰
く
(
いわ
)
く、ああ、今夜は自分の吹く簫の声が尋常でない、おそらくはこの都下に大変が起ろうも知れぬ、と
馳
(
は
)
せて
愛宕山
(
あたごやま
)
に上って僧院に泊ったところが、その夜
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
遠く
岩手
(
いはて
)
、
姫神
(
ひめかみ
)
、
南昌
(
なんしやう
)
、
早池峰
(
はやちね
)
の四峰を
繞
(
めぐ
)
らして、近くは、月に名のある
鑢山
(
たゝらやま
)
、
黄牛
(
あめうし
)
の背に似た
岩山
(
いはやま
)
、杉の木立の色鮮かな
愛宕山
(
あたごやま
)
を控へ、
河鹿
(
かじか
)
鳴くなる中津川の淺瀬に跨り、水音
緩
(
ゆる
)
き北上の流に臨み
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
愛宕山
(
あたごやま
)
の
茨木童子
(
いばらきどうじ
)
。」
鬼六
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
なから舞ひたりしに、
御輿
(
みこし
)
の
嶽
(
たけ
)
、
愛宕山
(
あたごやま
)
の
方
(
かた
)
より
黒雲
(
くろくも
)
俄
(
にわか
)
に
出来
(
いでき
)
て、
洛中
(
らくちゅう
)
にかゝると見えければ、——
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
また少しく
小高
(
こだか
)
い処は直ちに
峨々
(
がゝ
)
たる山岳の如く、
愛宕山
(
あたごやま
)
道灌山
(
どうかんやま
)
待乳山
(
まつちやま
)
なぞと呼ばれてゐる。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
御承知でもございましょうが、盛衰記に——
柿本
(
かきのもと
)
の
紀僧正
(
きのそうじょう
)
は日本第一の天狗と成って
愛宕山
(
あたごやま
)
の太郎坊と申さるる也——と見えますのは、当山の太郎坊の縁起とされております。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
愛宕山
(
あたごやま
)
の
山顛
(
さんてん
)
には、闇がいよいよ濃くなって来た。月のない空には、三つ四つの星が、高い夜の空に、ドンヨリした
光輝
(
こうき
)
を放っていた。やや冷え冷えとする、風のない夜だった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
また少しく
小高
(
こだか
)
い処は直ちに
峨々
(
がが
)
たる山岳の如く、
愛宕山
(
あたごやま
)
道灌山
(
どうかんやま
)
待乳山
(
まつちやま
)
なぞと呼ばれている。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
帆村荘六は、今、
愛宕山
(
あたごやま
)
の上に立っている。そこには、警視総監をはじめ、例の田所検事やその他、要路のお
歴々
(
れきれき
)
が十四、五名もあつまり、まっくらな山の上で、何ごとかを待っているのだった。
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
花の
愛宕山
(
あたごやま
)
に、夕雲が紅かった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
といっているとき、夜の
静寂
(
せいじゃく
)
を破って、どどーんの一大音響が聞え、
愛宕山
(
あたごやま
)
が、地震のように動いた。それと同時に、山手寄りの町に
炎々
(
えんえん
)
たる火柱がぐんぐん立ちのぼって、天を
焦
(
こ
)
がしはじめた。
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
愛宕山
(
あたごやま
)
を前にして日本橋京橋から丸の内を
一目
(
ひとめ
)
に望む事が出来る。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
愛
常用漢字
小4
部首:⼼
13画
宕
漢検準1級
部首:⼧
8画
山
常用漢字
小1
部首:⼭
3画
“愛宕山”で始まる語句
愛宕山権現