意志いし)” の例文
進撃的アグレシイヴで、意志いしつよさうなところがあり乍ら、どつか臆病おくびやうなところがあるではないかといつたやうな言葉ことばを聞かされた事があります。
三作家に就ての感想 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
これは意志いしぢゃ、おもんじておくりゃらば、顏色がんしょくうるはしうし、そのむづかしいかほめておくりゃれ。祝宴最中いはひもなか不似合ふにあひぢゃわい。
責任せきにんといふことおもききたいのもこれがめ、依頼心いらいしんおほいのもこれめ、また意志いし強固きやうこでないといふのもこれめであらうとおもひます。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
そこには、やはりりょう一とおなじような境遇きょうぐう少年しょうねんが、おな意志いし希望きぼうえて、熱心ねっしんふだにさらしていたのです。
僕が大きくなるまで (新字新仮名) / 小川未明(著)
右のごとき始末しまつにして、外国政府が日本の内乱にじょう兵力へいりょくを用いておおい干渉かんしょうを試みんとするの意志いしいだきたるなど到底とうていおもいも寄らざるところなれども
これを見ると、下人ははじめて明白にこの老婆の生死が、全然、自分の意志いしに支配されてゐると云ふ事を意識いしきした。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
やつれたうれへるのをかれるにしのびなかつたからである。かれのさういふ意志いしなが月日つきひ病苦びやうくさいなまれてひがんだ女房にようばうこゝろつうずる理由わけがなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ときにはまた、あのおそるべき打撃だげきのために、かへつ獨立どくりつ意志いし鞏固きようこになつたといふことのために、彼女かのぢよくゐふたゝ假面かめんをかぶつてみづかやすんじようとこゝろみることもあつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
さうしてさういふ種類しゆるいうたを、一般いつぱんに、わざうたとまをしました。では、童謠どうようとあてをします。が、ほんとうの意味いみは、かみ意志いしあらはれたうた、といふことらしいのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
お政はずいぶん神経しんけい過敏かびん感情的かんじょうてきな女であるけれど、またそうとうに意志いしの力を持っている。たいていのことはむねのうちに処理しょりして外に圭角けいかくをあらわさない美質びしつを持っている。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
とゴルドンは、富士男がとうてい意志いしをひるがえすことがないのを知って、室を去った。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
その頭の上でゆれているきぬのようなうす毛を、じっと見つめているうちに私は涙がこみあげてきた。人間の判断はんだんでは及びもつかないような意志いしが、この奇蹟をつくりあげたのである。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
ひとりならば自由な方角ほうがくをさしてばすこともできるが、こうして蛾次郎と相乗あいのりになってしまったために、クロはただクロ自身の意志いしで、勝手なほうへさっさつとして飛んでいく。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一つは多少たせう慈愛に引かれた結果けつくつもあツたが、さらに其のおくを探ツたら、周三をツて了ツては血統けつとう斷絶だんぜつの打撃となるから、出來ぬ我慢をしてかく周三の意志いし尊重そんちようすることにした。子爵はあきらめたのだ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
あの健康けんこうな、意志いしつよおとこが、もうけっして、もどることがないとおもったからでした。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
自然しぜん意志いし只管ひたすら地上ちじやういたところやはらかなあをもつおほかくさうとのみちからそゝいでるのである。意志いしさからうて猶豫たゆたうてるのは百姓ひやくしやう丁寧ていねいねられた水田すゐでんのみである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
その挙動きょどうは公使一個のかんがえにして政府の意志いし代表だいひょうしたるものと見るべからず。
と、自分の意志いしのかたい所を見せて、こう希望を述べると
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そう無意識の意志いしがうごいていった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)