心根こゝろね)” の例文
結局けつきよく麻雀界マアジヤンかいから抹殺まつさつされるにいたつたなどははなは殷鑑ゐんかんとほからざるものとして、その心根こゝろねあはれさ、ぼくへてにくにさへならない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
けられぬなれば恩愛おんあいおもきにかれて、くるまにはりけれど、かゝるとき氣樂きらく良人おつと心根こゝろねにくゝ、今日けふあたり沖釣おきづりでもものをと
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
搖起ゆりおこし此事を内々ない/\はなしければ友次郎もよろこびて何分共に願ひ候といはれて亭主も夫婦の者の其心根こゝろねさつ本意ほんいならぬ事にはあれつひ其意そのいにまかせけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
大丼が出たり、小皿が出たりするところを見ると、何が無くとも有合ありあはせのもので一杯出して、地主に飲んで貰ふといふ積りらしい。思へば小作人の心根こゝろね可傷あはれなものである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
あらためてしるしせう、……前刻さきにまをした、鮫膚さめはだ縮毛ちゞれけの、みにくきたない、木像もくざうを、仔細しさいありげによそほふた、心根こゝろねのほどの苦々にが/\しさに、へしつて捻切ねぢきつた、をんな片腕かたうでいまかへすわ、受取うけとれ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
またことならぬおもひびと、わが心根こゝろねや悟りてし。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
あいちやんのやさしい心根こゝろねから)。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
返事へんじはなくて吐息といき折々おり/\ふと身動みうごきもせず仰向あほのきふしたる心根こゝろねつらさ、其身そのみになつてもおりきことわすれられぬが、十ねんつれそふて子供こどもまでもうけしれにこゝろかぎりの辛苦くろうをさせて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
質に置れなば五六十兩はかし申べしと云し時夫はかたじけなしと持て歸り候面體めんていことほか怪敷あやしくぞんじ候と申ければ大岡殿市郎左衞門は如何いかゞぞんずるやと尋られしに市郎左衞門其儀は日頃彦兵衞柔和にうわなる男には候へどももと大坂おほさかうまれゆゑ關東者と違ひ心根こゝろね怖敷おそろしく十が九ツ彦兵衞にちがひ之なしと申立るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ぬやうにらずがほ信如しんによのつくるに、ゑゝいつもとほりの心根こゝろねなきおもひをあつめて、すこなみだうらがほなににくんでそのやうに無情つれなきそぶりはせらるゝ、ひたいこと此方こなたにあるを
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
こめつ可笑をかしく面白おもしろものがたりながらしづみがちなるしゆ心根こゝろねいぢらしくも氣遣きづかはしくはなれぬまもりにこれもひとつの關所せきしよなり如何いかにしてかえらるべき如何いかにしてかのがるべきおたかかみとりあげず化粧けしやうもせずよそほひしむかし紅白粉べにおしろい
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)