年上としうへ)” の例文
うつくしきかほ似合にあはぬはこゝろ小學校通せうがくかうがよひに紫袱紗むらさきふくさつゐにせしころ年上としうへ生徒せいと喧嘩いさかひまけて無念むねんこぶしにぎときおなじやうになみだちて
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたしは、わたしころされるんでございませうか、ときながらまをしますとね、年上としうへかたが、いゝえ、お仙人せんにんのおとぎをしますばかりです、それは仕方しかたがござんせん。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
洗晒あらひざらしの伊予絣いよがすり単衣ひとへを着て、白い木綿の兵子帯を締めた貢さんは肩を並べて腰を掛けた。お濱さんは三つ年上としうへで十三に成るが、小学校は病気の為におくれて同じきふだ。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
無論むろん小六ころくよりも御米およねはう年上としうへであるし、また從來じゆうらい關係くわんけいからつても、兩性りやうせいからけるつやつぽい空氣くうきは、箝束的けんそくてき初期しよきおいてすら、二人ふたりあひだおこべきはずのものではなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
僕よりも少し年上としうへだけに不斷はしツかりしたところのある女だが、結婚の席へ出た時の妻を思へば、一二杯の祝盃に顏が赤くなつて、その場にゐたたまらなくなつた程の可愛らしい花嫁であつた。
泡鳴五部作:01 発展 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
そこあいちやんは隨分かなりながあひだローリーてう議論ぎろんをしました、ローリーてうつひにはしぶつらしてねて背中せなかけて、『わたしはおまへより年上としうへだよ、わたしはうつてる』とたゞつたばかりなので
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「お姉上あねうへ。」——いや、二十幾年にじふいくねんぶりかで、近頃ちかごろつたが、夫人ふじん矢張やつぱり、年上としうへのやうな心持こゝろもちがするとかふ。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
遠慮ゑんりよをされるとくゝるほどに何事なにごとだまつて年上としうへこともの奧樣おくさますつとお羽織はをりをぬぎて、千葉ちば背後うしろより打着うちきたまふに、人肌ひとはだのぬくみ氣味きみわるく、麝香じやこうのかをり滿身まんしんおそひて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
代助のちゝには一人ひとりあにがあつた。直記なほきと云つて、ちゝとはたつた一つ違ひの年上としうへだが、ちゝよりは小柄こがらなうへに、顔付かほつき眼鼻立めはなだちが非常にてゐたものだから、知らない人には往々双子ふたごと間違へられた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
のかはり、衣服きもの年上としうへはうが、紋着もんつきだつたり、おめしだつたり、ときにはしどけない伊達卷だてまき寢着姿ねまきすがたかはるのに、わかいのは、きつしまものにさだまつて、おびをきちんとめてる。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
どんな場合ばあひにも二十四五のうへへはない……一人ひとりは十八九で、わかはうは、ふつくりして、引緊ひきしまつたにくづきのい、中背ちうぜいで、……年上としうへはうは、すらりとして、ほそいほどせてる。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)