)” の例文
その大刀をお受け取りなさいました時に、熊野の山の惡い神たちが自然に皆切り仆されて、かの正氣を失つた軍隊が悉くめました。
太子問ひたまふ所の義、師(慧慈ゑじ)も通ぜざる所有り。太子夜の夢に金人のきたりて不解義を教ふるを見たまふ。太子めて後即ちこれ
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
まだ中学に居る頃からの宿題で、寐てもめても是ばかりは忘れるひまもなかったのだが、中学を卒業してもまだきまらずに居たのだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
す事もあらねば、貫一は臥内ふしどに入りけるが、わづかまどろむと為ればぢきに、めて、そのままにねむりうするとともに、様々の事思ひゐたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ある時ヒロ窟中に眠れるに乗じ闇の神来って彼を滅ぼさんとす。一犬たちまち吠えて主人をまし、ヒロ起きて衆敵を平らぐ。
そして自分の村に帰ったかと思うと、豁然かつぜんとして夢がめたようになった。その時宋公は死んでから三日になっていた。
考城隍 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
絶望のまゝ、幾晩も仰ぎ寝たきりで目は昼よりもめて居た。其間に起つた夜の間の現象には、一切心が留らなかつた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
曾はそこでからりと夢がめた。見ると老僧はなお座の上に座禅を組んだままであった。仲間の者は口々に言った。
続黄梁 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
果して寤か、果して寐か、我是を疑ふ。深山しんざん夜に入りて籟あり、人間昼に於て声なき事多し。むる時人真に寤めず、寐る時往々にして至楽の境にあり。
富嶽の詩神を思ふ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
寝てもめても恩義の程を忘れず、万事に気を利かして、骨身を惜まず一生懸命にくれ/\と働き、し寅に起るの誡めの通り、子と云えば前の九ツで
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
白日まひるも夢見る村の一人の遊び人が、ある日樫の木の下の草地に腰を下して、水車の軋々ぎいぎいと廻るを見つゝ聞きつゝ、例の睡るともなくむるともなく、此様な問答を聞いた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
妾が血をいて熱をなすものは何ぞ。妾を病ましむるものは何ぞ。妾はめて何をか思へる。妾はいねて何をか夢みたる。おん身の愛憐のみ。おん身の接吻のみ。アントニオよ。
むる時人真に寤めず、る時往々にして至楽の境にあり、身躰四肢必らずしも人間の運作うんさくを示すにあらず、別に人間大に施為する所あり、ひそかに思ふ終に寤ざるもの真の寤か
吾人が睡りつめつするのは、睡らんと欲して睡る時も有り、寤めんと欲して寤むる時も有るが、又睡らんと欲するにあらずして、おのづからに睡り、寤めんと欲するにあらずして
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
生き別れをした吾子わがこを尋ね当てるため、六十余州を回国かいこくして、てもめても、忘れるがなかったある日、十字街頭にふと邂逅かいこうして、稲妻いなずまさえぎるひまもなきうちに、あっ、ここにいた
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ジヤルルック君車上より声かけしが、めず。車を下りて呼びさまし来る。此は夜をこめてエルサレムより余等の乗る可き馬をき来り此処こゝに待てる馬士まごイブラヒム君とて矢張シリヤ人なり。
年寄は長く寐なくてはちょいとめている間に
觸れやすき思ひにむる。
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
絶望のまま、幾晩も仰ぎ寝たきりで、目は昼よりもめて居た。其間に起る夜の間の現象には、一切心が留らなかった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
その時王めて、われ稀代の夢を見た、たとえば磨いたはがね作りの橋を渡り、飛沫ひまつ四散する急流を渡り、金宝で満ちた地下の宮殿に入ったと見て寤めたと。
去年の暮から全半歳まるはんとし、その者のめに感情を支配せられて、てもめても忘らればこそ、死ぬよりつらいおもいをしていても、先ではすこしも汲んでくれない。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
かくて還つておいでになつて、玉倉部たまくらべの清水に到つてお休みになつた時に、御心がややすこしおめになりました。そこでその清水を居寤いさめの清水と言うのです。
彼は冷汗にひたってめた。惟うに彼は夢に畜生道に堕ちたのである。うつつの中で生きた人を喰ったり、死んだ死骸を喰ったりばかりして居る彼が夢としては、ふさわしいものであろう。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それがために紅い丸は気にしたごうて喉に入り、かくかくという響をさした。そして暫くすると孔生は生きかえったが、一族の者が前に集まっているのを見て夢のめたような気になった。
嬌娜 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
わっちア何う云う訳で此様こんな悪い事をしたかと思ってね、今夢のめたような心持で……その布卷吉さんは茂之さんの子たア知らねえ、年のかねえで親の敵を討とうと云う其の孝心を考え
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
むる時、亦たかくの如し、おもはざらんと思ふに意ひ、意はんと思ふに意はず。
山庵雑記 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
王はめてそれを嬰寧に話した。嬰寧はいった。
嬰寧 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
めてかつひに夢みてか
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
かく久しく断食した人が定を出たら酥油そゆを注いで全身をうるおし、さて犍稚を鳴らしてますがよいと答えた。
この時に熊野の高倉下たかくらじ、一横刀たちをもちて、天つ神の御子こやせるところに到りて獻る時に、天つ神の御子、すなはちめ起ちて、「長寢ながいしつるかも」と詔りたまひき。
かれめて問ひ給ひしかば、爾時ソノトキに「御津ミアサキ」とまおしき。その時何処いずくしか言ふと問ひ給ひしかば、即、御祖ミオヤの前を立去於坐タチサリニイデマして、石川渡り、阪の上に至り留り、此処ここと申しき。
水の女 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
めざるもの誰ぞ、悟らざるもの誰ぞ。損喪そんさうせざるものつひ何処いづこにか求めむ。
富嶽の詩神を思ふ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
阿宝は急いで呼びかえそうとしたが、もう遠くの方へ往ってしまった。そこで女は婆さんのじょちゅうに言いつけて、孫の家へ履を探しに往かしたが、婆さんが往ってみると、孫はもうめていた。
阿宝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
と、周の眼がめた。そこで周は
成仙 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
地中に込み入った巣を穿ち特に穀倉を造り、秋末に穀豆をその頬に押し込んで多量に貯え、その中に眠って極寒時を過し、二、三月になるとめて居食いする。
この時熊野のタカクラジという者が一つの大刀をもつて天の神の御子の臥しておいでになる處に來て奉る時に、おめになつて、「隨分寢たことだつた」と仰せられました。
長摩納父の仇を復すはこの時と利剣を抜いて王の首に擬したが、父王平生人間はただ信義を貴ぶべしと教えたるを思い出し、いかりをやすめ剣を納めた時俄然がぜん王驚きめた。
玉倉部たまくらべ清泉しみづに到りて、息ひます時に、御心ややめたまひき。
むるをちて請いて兄弟分とる、竜なかまの習い、毎日順番に一人ずつ、木を伐り水汲みに往く、やがてラが水汲みに当ると、竜の用うる桶一つが五十ガロン入り故
西暦四五〇年テオドシウス若帝の治世に至り、七人始めてめてエフェスス村に入った。
犬傍にありて衣の裾をくわえて引く、ややめてまたぬれば犬しきりに枕頭に吠ゆ。
その人めて多くの帽失えるを知り失望してその帽を地になげうつと、衆猴その真似してことごとく盗むところの帽を投下し、商人測らず失うところを残らず取り還したてふ話があると。
王ついに鼠の声にまされ、さては鼠の助けで蛇害を免れたと知り、山下の村の年貢でかの鼠を養わしめ、その村を迦蘭陀すなわち鼠村と付けたとある。また仏成道じょうどうしていまだ久しからず。
めてまた僧となり、袈裟一枚大の地を求むるので承知すると、袈裟をばせば格別大きくなる。かくて広い地面を得て、大工を招き大きな家を立てると、陥って池となり、竜その中に住む。