“豁然”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かつぜん76.9%
くわつぜん17.3%
からっ1.9%
からり1.9%
くわつねん1.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かつてあんなにも恋いこがれていたその人を、一顧いっこの価値もない腐肉の塊であると観じて、清く、貴く、豁然かつぜんと死んで行ったであろうか。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
その内には目のさめたやうに豁然くわつぜんと悟入も出来るものであります。古来禅宗の坊さんは「啐啄そつたくの機」とか言ふことを言ひます。
文芸鑑賞講座 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
片側町かたかわまちになって、人や車があとへ走るのが可笑おかしいと、其を見ているうちに、眼界が忽ち豁然からっと明くなって、田圃たんぼになった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
閉じた胸の一時に開けた為め、天成の美も一段の光を添えて、えんなうちにも、何処か豁然からりと晴やかに快さそうな所も有りて、宛然さながらはすの花の開くを観るように、見る眼も覚めるばかりで有ッた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
文雄の事は細説をたぬであらう。磨光韻鏡等の著者で、京都の了蓮寺、大坂の伝光寺に住してゐた。字は豁然くわつねん、蓮社と号し、又了蓮寺が錦町にあつたので、尚絅堂しやうけいだうと号した。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)