“くり”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:クリ
語句割合
庫裡36.8%
34.3%
庫裏17.4%
3.8%
1.1%
久里1.1%
廚裡0.5%
蔵裏0.5%
栗樹0.5%
0.5%
久利0.3%
九里0.3%
倶利0.3%
0.3%
0.3%
厨裡0.3%
廚裏0.3%
0.3%
狗狸0.3%
苦力0.3%
藏裏0.3%
𣵀0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「今夜はお二人を此処へ泊める」と代二郎は彼に囁いた、「——庫裡くりへはそう云ってあるからね、私たちはこれで帰らせてもらうよ」
初夜 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
庭を東へ二十歩に行きつくすと、南上がりにいささかばかりの菜園があって、真中まんなかくりの木が一本立っている。これは命より大事な栗だ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
突然庫裏くりの方から、声を震わせて梵妻だいこくが現われた。手にくわのような堅い棒を持ち、ふとった体を不恰好ぶかっこうに波うたせ、血相かえて来た。
果樹 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
山田さんから伺ったはなしでは「煤烟」の作者は、幾度「煤烟」をくりかえそうとなすっているかと、ほほえまれるので御座いました。
平塚明子(らいてう) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
朱のなまめくくり波斯ペルシヤ模様の美くしさ
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
過ぐる嘉永かえい六年の夏に、東海道浦賀の宿、久里くりはまの沖合いにあらわれたもの——その黒船の形を変えたものは、下田しもだへも着き、横浜へも着き
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
よう御参詣じゃ——紅屋の御新姐ごしんぞう……今ほどはまた廚裡くりへお心づけ過分にござる。ああ、そのお袴の御仁(八郎を云う)、前にある黒いかめじゃがの。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
蓮華寺れんげじでは下宿を兼ねた。瀬川丑松うしまつが急に転宿やどがへを思ひ立つて、借りることにした部屋といふのは、其蔵裏くりつゞきにある二階の角のところ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
質朴しつぼくあいするに堪へたり、余炉辺にし一客にふて曰く、是より山奥にいたらば栗樹くりありや否、余等一行探検たんけん中途ちうとにして飢餓きがおちゐることあらん乎、栗等の果実くわじつりて餓死がしのがれんとすと
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
「全くほしいよ。あいつをはいてならくりのいがでも何でもこはくないぜ。」
蛙のゴム靴 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
榛軒の三女久利くりは此年に生れたが、其月日をつまびらかにしない。久利は後いくばくもなくして世を早うするむすめである。是が記事の二である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
歴世略伝を検するに榛軒の子はかえ久利くりの二女を載するのみである。柏の生れたのは八年の後である。久利の生年は記載して無い。丁亥に生れた女子はその何人なにひとなるをつまびらかにしない。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
僕は夕飯ゆふめし後によく有名な「リラの庭」と云ふラタン区のキヤツフエエへく。僕より一月ひとつき早く来て巴里パリイ珈琲店キヤツフエエつうに成つて仕舞しまつた九里くり四郎が初めれて行つてれたのだ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
折折をりをり木靴を穿いた田舎人ゐなかびとが通る。細君と娘とをれて散歩して居る陸軍士官にも遇つた。九里くりと僕とは梅原から巴里パリイの芝居の話を聞きながら歩いた。又何か冗談を言合つては晴やかに笑ふ事が出来た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
菊川の家並やなみ外れから右に入って小夜さよの中山を見ず。真直に一里半ばかり北へ上ると、俗に云う無間山むげんざんこと倶利くりだけの中腹に、無間山むげんざん井遷寺せいせんじという梵刹おてらがある。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
早速さつそく幾本かの蝋燭が各室にけられて大洞窟の闇を破つた。客室サロンも寝室も倉も炊事すべて自然の巌石がんせきくり抜き、それしきつた壁も附属した暖炉や棚などもまつた据附すゑつけ巌石がんせきで出来て居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
彼はずんずん左のくりの方へ往って、書院と厨の間になった植込の中へ入り、そこから裏庭の方へ往くと二人の武士が床几しょうぎに眠っていた。庭にはの池があって何時いつか見たがまが一ぴき浮んでいた。
赤い土の壺 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
また厨裡くり心太ところてんを突くような跳梁権ちょうりょうけんを獲得していた、檀越だんおつ夫人の嫡女ちゃくじょがここに居るのである。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「まさか、廚裏くりへも、ね。」
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
蠑螈ゐもりくり
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
その羅漢像、居士像等には狗狸くりに類似の面相もあったというが、恐らく偶然の所産であって、団九郎に関係はなかったのだろう。
閑山 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
「え、それはわかつてゐるんですがね。苦力くりの車にひとりで乗せてやるわけには行かないのです。何うもしやうがありませんよ」
(新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
御寺みてら藏裏くり白壁しらかべ
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
蠑螈ゐもり𣵀くり
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)