鼠花火ねずみはなび)” の例文
稚児さんを見てるのに飽くと、くらいところにいって、鼠花火ねずみはなびをはじかせたり、かんしゃく玉を石垣いしがきにぶつけたりしました。
(新字新仮名) / 新美南吉(著)
それから鼠花火ねずみはなびというのは一つずつ輪になっていて箱に詰めてある。そんなものが変に私の心をそそった。
檸檬 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
お絹は、自分の顔に平次の視線を感ずると、口火を点けられた鼠花火ねずみはなびのように騒ぎ出しました。
「糸公御前の返事は鼠花火ねずみはなびのようにくるくる廻っているよ。錯乱体さくらんたいだ」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
よき女房のお静は、呆気あっけに取られてその後ろ姿、朝の春光の中に消え行く二人を見送りました。御用のことというと、まるで火の付いた鼠花火ねずみはなびのように飛出す、夫の平次が少しうらめしかったのです。
騒ぎはそれから、火の付いた鼠花火ねずみはなびのように飛び交いました。