黒風こくふう)” の例文
それぎり青年画家の行衛ゆくえは知れなくなってしまった。その夜は近隣の村々に黒風こくふう白雨びゃくうたけりに猛り狂いに狂った。
森の妖姫 (新字新仮名) / 小川未明(著)
で——一陣の黒風こくふうは、橋上からふたつに別れ、広からぬ猫間川を中にはさんで水の行方に添って疾走する。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今は恐ろしき沈黙はすでにとく破れて、雷鳴りでんひらめき黒風こくふう吹き白雨はくうほとばしる真中まなかに立てる浪子は、ただ身をして早く風雨の重囲ちょういを通り過ぎなんと思うのみ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
いま、船は加賀かがの北浦に沿って、紅帆こうはん黒風こくふうのはためき高く、いよいよ水脚みずあしをはやめている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白雨はくう黒風こくふう
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黒風こくふう白雨はくう
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)