黒潮こくちょう)” の例文
小説「黒潮こくちょう」の巻頭辞かんとうじを見て、いやしくも兄たる者に対して、甚無礼ぶれい詰問きつもんの手紙をよこした。君自身兄であった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
徳富氏の『黒潮こくちょう』第一巻が公にせられたのは明治三十六年だった。この小説は作そのものよりも、兄蘇峰氏に投げつけた絶交書のような序文の方で名高かった。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
然れども日本の気候と天象てんしょう草木そうもくとは黒潮こくちょうの流れにひたされたる火山質の島嶼とうしょの存するかぎり、永遠に初夏晩秋の夕陽せきよう猩々緋しょうじょうひの如く赤かるべし。永遠に中秋月夜ちゅうしゅうげつや山水さんすいあいの如く青かるべし。
浮世絵の鑑賞 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
明治三十九年の末から四十年の始にかけ、余は黒潮こくちょうと云う手紙代りの小さな雑誌を出したが、其内田舎住居をはじめたので、三号迄も行かぬ二号雑誌に終った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
然れども日本の気候と天象てんしょう草木そうもくとは黒潮こくちょうの流れにひたされたる火山質の島嶼とうしょの存するかぎり、永遠に初夏晩秋の夕陽せきよう猩々緋しょうじょうひの如く赤かるべし。永遠に中秋月夜ちゅうしゅうげつや山水さんすいあいの如く青かるべし。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)