麟太郎りんたろう)” の例文
以上のとおり読み終ると、法水のりみず麟太郎りんたろうは眼前の里虹を見た。彼は今日、めずらしく渋い服装なりをしている。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
実子の麟太郎りんたろうはまだわかく額には前髪さえ立てていたがその精悍さは眼付きに現われその利発さは口もとに見え、体こそ小さく痩せてはいたが触れれば刎ね返しそうな弾力があった。
開運の鼓 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
法水のりみず麟太郎りんたろうと支倉検事が「鷹の城ハビヒツブルグ」を訪れたのは、かれこれひるを廻って二時に近かったが、陽盛りのその頃は、漁具の鹹気しおけがぷんぷん匂ってきて、いわは錆色に照りつけられていた。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
初名義邦よしくに、通称は麟太郎りんたろう、後安芳やすよし、号は海舟かいしゅう、幕末じゅう位下いげ安房守あわのかみとなり、軍艦奉行、陸軍総裁を経、さらに軍事取扱として、幕府陸海軍の実権を、文字通り一手に握っていたのが
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)