鳥目とりめ)” の例文
「おっ母は、鳥目とりめだから、夕方はよけいに気をつけてやってくれ。こちょこちょと、台所へ、出ねえように」
野槌の百 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家内には新宿の停車場前から鶏肉だの雑物ぞうもつだのを買って来て食わせた。この俗にいう鳥目とりめもとの通り見えるように成るまでには、それから二月ばかり掛かった。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
金剛寺坂こんごうじざか笛熊ふえくまさんというのは、女髪結おんなかみゆいの亭主で大工の本職を放擲うっちゃって馬鹿囃子ばかばやしの笛ばかり吹いている男であった。按摩あんま休斎きゅうさいは盲目ではないが生付いての鳥目とりめであった。
伝通院 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
年齢としはとりたくないね。針のめどが見えやしない。鳥目とりめかしら——。」
鳥目とりめの薬の八目鰻やつめうなぎを売っていると思えば、その向いには
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)