鬼奴おにめ)” の例文
運命の鬼奴おにめは、甘い餌物えものを与えて、人の心をためすのだ。そして、ちょっとでも心に隙があったなら、大きな真黒な口を開いて、ガブリと人を呑んでしまうのだ。
白髪鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
御年貢は取れてもはあ、去年の鬼奴おにめがまだついてやすでな。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
世の常ならぬ愛慾の鬼奴おにめが、彼を清玄の様に、執拗しつような恥しらずにしてしまった。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)