髪結かみゆ)” の例文
旧字:髮結
裏手の露地の出口に住んでいる女髪結かみゆいの娘はもう常磐津ときわずの名取りになって、いわゆる狼連の若い衆を毎晩うならせていた。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
とお笑いになりながら髪結かみゆいさんを呼んで来て下すったのですが、その時に私は「生れて初めて他人に髪を結ってもらうのだ」と思い思い鏡と向い合ってはおりましたが
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そっと家の中を覗いて見ると、玄関わきの部屋の窓際で、おかみさんらしい女が鏡台の前に座って、髪結かみゆいに髪を結わせていた。ここだ、この家だと私はその中に這入ろうとした。
その隣りは髪結かみゆいであった。この家で一番印象深いのは爺さんであった。爺さんの顔はいまもはっきり眼に浮かぶ。私はこの爺さんを見るたびに老年の孤独そのものを見る思いがした。
安い頭 (新字新仮名) / 小山清(著)
「そうか。置いたぜ、髪結かみゆちんを」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)