高燈籠たかどうろう)” の例文
今し、お銀様は鳥居前の高燈籠たかどうろうの下にとどまって、じっと海を遥かに、出船入船の賑わいを近く眺めて立ちつくしていました。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
蒔絵の模様は、こうを除いたほとんど全部に行きわたっていて、両側の「いそ」は住吉すみよし景色けしきであるらしく、片側に鳥居とりい反橋そりはしとが松林の中に配してあり、片側に高燈籠たかどうろう磯馴松そなれのまつと浜辺の波が描いてある。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
例えば真白い木綿達磨もめんだるま紙幟かみのぼり、かなかんぶつ、高燈籠たかどうろうといったようなものを誰が持ち来たすともなく持ち来たして押立てる。
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こうして兇賊が引き立てられ、場面が整理され、群集がに着いた時分、例の高燈籠たかどうろうの下で小さな尼を介抱しているところのお銀様を見ました。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この高燈籠たかどうろうの下へ寄って来て、今やお銀様と小さい尼が一心に前面の人を見ているその背後のあたり、しきりにこの高燈籠の構造を評判しておりました。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「弁信さん、お前また高燈籠たかどうろうけに行くんだね、近いうちに大暴風雨おおあらしがあるから気をおつけよ」
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)