香盤こうばん)” の例文
菊之丞は、拡げられた香盤こうばんをのぞき込む。成程なるほど、何枚かの図面には、すべて付け込みのしるしが一面に書き込まれているのだった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
裏木戸と言っても、瀬川はもとより俳優の下足を扱う口番でもなく、無論頭取部屋に頑張がんばっている頭取の一人でもなかったが、香盤こうばんの札くらいは扱っており、役者に顔が利いていた。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)