養母おっか)” の例文
「まあそうやって、後生大事に働いてるがいや。私もあぶなだまされるところだったよ。養母おっかさんたちは人がわるいからね」お島も棄白すてぜりふでそこを出た。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「あたしはネ……知ってるだろ。よもぎの寮の養母おっかさんとも別れちまって、それからいろんな目に会ってね」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私が附けた田畑の収穫の帳面尻をハジキ上げて、イクライクラ残っていると、台所から呶鳴どなりますと、養母おっかさんが寝床の中で銭を数えてから、ヨシヨシと云います。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
どうしてどうして現今いまのおはるさん(羽左衛門の細君の名)は働きものです。それは自分の持って来たものはあるけれど、どうしても養母おっかさんがしっかりしているから、なくなさせやしません。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
え、それじゃアお前もか? アッハハハ大丈夫だ。養母おっかさんと喧嘩したんだろう。お粂婆さんと来たひにゃア、骨までしゃぶろうっていう強欲だからな。構うものか呶鳴ってやりねえ。俺らも助太刀を
柳営秘録かつえ蔵 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「いいえ。養母おっかさんが取付けたのだそうです。一軒家だから用心に用心をしておくのだと云って、養母おっかさんが自分で町から買うて来て、隣村の大工さんに附けてもろうたのだそうです」
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「そうすると鍵は養母おっかさんが持って、寝ている訳じゃのう」
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)