頭陀づだ)” の例文
網代あじろの笠に夕日ゆふひうて立ち去る瀧口入道が後姿うしろすがた頭陀づだの袋に麻衣あさごろも、鐵鉢をたなごゝろさゝげて、八つ目のわらんづ踏みにじる、形は枯木こぼくの如くなれども、いきある間は血もあり涙もあり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
壱岐の島へ行つて見ますと、未婚の男が亡くなると、幾つになつて居ても、首に頭陀づだ袋を下げて、墓へ送る。さうして途々摘んだ花を、其袋に入れてくれる。懐しいあはれな風であります。
古代生活に見えた恋愛 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ルックサック——これも登山にはつきものであるが、空の頭陀づだ袋を前に置いた所で、何の感興も起らぬ。たかだか山寺の和尚さんみたいに、猫でも押し込んでポンと蹴る位が関の山であろう。
山を思う (新字新仮名) / 石川欣一(著)
頭陀づだの法を学ばざれば
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)