頓着とんぢゃく)” の例文
長三郎はそんなことに頓着とんぢゃくしていられなかった。彼は再びお冬をふり切って、一軒家を目ざして駈け出して、やがて門前へ行き着いて少しく躊躇した。
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
このじゅうのおれの行状から見たら、ひとに意見がましいことなど言われた義理ではないが、おれにはまたおれの料簡りょうけんがある。鶯はただ鳴くだけのことで、やぶにあろうがかごにあろうが頓着とんぢゃくせぬ。
鳥辺山心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)