音律リズム)” の例文
そのやわらかな音律リズムは、人ひとりいるとも見えぬその家々の軒を、格子を、ノックするように流れていった。
地図にない街 (新字新仮名) / 橋本五郎(著)
が、其のうちに不安のなかにも、何だか妙な快感が生じて来た。少しの間でも、自分のステツプが一人前らしくなだらかに行くと、何だか天地の音律リズムと合致したやうな、一種の愉悦の念を覚えて来た。
私の社交ダンス (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
荘厳この上もない音律リズムの波を耳に致しておりますうちから私は、もう身体中がゾクゾクして、いても立ってもおられないくらい空恐ろしい、今にも逃げ出したいような気持になってしまいました。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)