韋駄天ゐだてん)” の例文
平次は挨拶もそこ/\、眞一文字にお勝手へ拔けて、數寄屋橋の南町奉行所まで、韋駄天ゐだてん走りに驅け付けました。
目をとぢて雨風の音に聞き入つてゐますと、ゴオーと吹きよせる音は、火吹だるまが怒り出したやうにも聞えますし、また韋駄天ゐだてんが走つて来るやうにも思はれます。
天童 (新字旧仮名) / 土田耕平(著)
韋駄天ゐだてんちからでもりませいでは。‥‥どんなお早駕籠はやでも四日よつかはかゝりませうで。‥‥』と、玄竹げんちくはもうおもてをあげることが出來できなかつた。但馬守たじまのかみきつかたちたゞして
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
八五郎ほどの韋駄天ゐだてんでも、一丁と行かないうちに、曲者の姿を見失つたことでせうが、有難いことに、その頃の目黒は百姓地だらけの田舍で、必死と逃げ出した曲者も