どう)” の例文
巨人のついを下すや四たび、四たび目に巨人の足は、血を含む泥をて、木枯の天狗てんぐの杉を倒すが如く、あざみの花のゆらぐ中に、落雷もじよとばかりどうと横たわる。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
突如いきなり蒲団を後から引いたので、蒲団は厠の入口で細君の手に残った。時雄はふらふらと危く小便をしていたが、それがすむと、突如いきなりどうと厠の中に横に寝てしまった。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
と思うと、波頭は吹きつける風にそりを打ってどうとくずれこんだ。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
五色の糸と氷をあざむく砕片の乱るる中にどうたおれる。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)