露西亜人ロシアじん)” の例文
旧字:露西亞人
「それから、炊事場へ露西亜人ロシアじんをよせつけることはならん。残飯は一粒といえども、やることは絶対にならん。厳禁してくれ。」
渦巻ける烏の群 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
露西亜人ロシアじんの半身像を据えた部屋の中に紅毛人の女が一人せっせとタイプライタアをたたいている。
誘惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
かつて二葉亭ふたばていといっしょに北の方を旅行して、露西亜人ロシアじんひどい目にったと話した。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それでも露西亜人ロシアじんだけあって、眼にあまる山のことごとくに砲台を構えて、その砲台のことごとくに、馬車をって頂辺てっぺんまで登れるような広いみちをつけたのは感心ですとA君が語られる。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
丘のそこかしこ、それから、丘のふもとの草原が延びて行こうとしているあたり、そこらへんに、露西亜人ロシアじんの家が点々として散在していた。革命を恐れて、本国から逃げて来た者もあった。
渦巻ける烏の群 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
私も一度友だちと一しょに、パブリック・ガアデンを歩いていた時、身なりの悪い露西亜人ロシアじんに、しつっこく金をねだられました。あれなぞは唯の乞食でしょうが、余り気味の好いものじゃありません。
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)