障子際しょうじぎわ)” の例文
縁側の障子際しょうじぎわに坐っている仲人役の栗野博士夫妻は最前からしきりに気をんで、新郎新婦に席をはずさせようとしていたが、田舎の風俗に慣れない新郎の澄夫が
笑う唖女 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
我を忘れて障子際しょうじぎわに耳を寄せようとすると、乳房がよく寝ていた郁太郎のかおでて、子供は夢を破られんとし、むずかって身を動かすので、お浜はあわててかかえてあやなします。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
廊下を通って父親の居間になっている日本間の方へ往くと、廊下のとっつきの小座敷こざしきで人の気配がするのだ、奴さん、そっと障子際しょうじぎわへ寄って耳を立てると、むし笑いに笑う女の声がするが
雨夜草紙 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)