随喜渇仰ずいきかつごう)” の例文
と、随喜渇仰ずいきかつごうの有様なのだ。そこでそのさいのろ振りがまた、さあ町じゅうのいい笑い草となった。いや岡焼きも手つだっていよう。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
などと、お茶っ葉の提灯ちょうちんを持つ折助おりすけの若いのがいう。名優を随喜渇仰ずいきかつごうするもろもろの声を聞き流して、道庵主従はこの盛り場から町筋をうろつきました。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
鶴見はそのおぎろなき慈悲に身を染めて、さながら如来智をでも授かったように他念なく随喜渇仰ずいきかつごうしていたものである。その時である。ふと、ちらちらする動きを感じた。
がこれらの連中は坊主の説教を無上に有難がる方の連中で、坊主自身が何が何やら意味を解せずに説教してるのを自分も解らずに聴きながら、随喜渇仰ずいきかつごうの涙をこぼすという手合いだ。
彼等が随喜渇仰ずいきかつごうしたほとけは、円光のある黒人こくじんではありません。優しい威厳いげんに充ち満ちた上宮太子じょうぐうたいしなどの兄弟です。——が、そんな事を長々と御話しするのは、御約束の通りやめにしましょう。
神神の微笑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)