こば)” の例文
主人次郎右衞門や奉公人達の立ち騷ぐ中を、三輪の萬七とお神樂かぐらの清吉が、得々としてお秀を縛つて行くのを、どうしてもこばみやうがなかつたのです。その時後ろから
更に、その時計を進ませたと云うのには、何か幡江の追及をこばむ意外にも、意味があるのではないだろうか——などと考えて来ると、法水の頭の中が急にモヤモヤとして来た。
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
が、朝夕通いなれた小路に近づいて来ると、急に何物かにこばまれるような心もちで、男はその儘引っ返して来た。男はこんなことで、心にもなく女とも別れなければならなくなる運命を考えた。
曠野 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)