閻羅えんら)” の例文
玄石、子珍に語るよう、汝眼を閉じよ、汝を伴れ去って父を見せようと。珍目を閉づるに須臾しゅゆにして閻羅えんら王所の門に至り北に向って置かる。
それより情死の事由をつらね、更に一転してその苦痛と応報とをぶ。「あやなき闇に凄然すさまじや、閻羅えんらと見ゆる夏木立」。
性情から、人格から、生活から、精神の高低から、叡智えいちの明暗から、何から何まで顔に書かれる。閻羅えんら大王の処に行くと見る眼かぐ鼻が居たり浄玻璃じょうはりの鏡があって、人間の魂を皆映し出すという。
(新字新仮名) / 高村光太郎(著)
閻羅えんら王、祐筆を求めるに依ってな——」
稚子法師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あに閻羅えんら獄卒の責めをまぬがれんや
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)