閉口へこ)” の例文
「あ、大番頭さんだ。」と小僧はたちまち閉口へこんで、「だって、いとも怪しの野郎が襲って来てここを開けろ、開けなきゃどんどん——。」
私は笑うんじゃないと自分自身をしかりつけたけれども、私の中の、小さな悪戯好きの悪魔が、そんなことには閉口へこたれないで私をくすぐった。
二銭銅貨 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
実は新聞を見るのも退儀なんだが、男がこれしきの事に閉口へこたれて仕様があるものかと無理に腹這になつて、寐ながら、二頁をけて見ると驚ろいた。昨日きのふの喧嘩がちやんと出て居る。
坊っちやん (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
顎十郎は、閉口へこたれて
実は新聞を見るのも退儀たいぎなんだが、男がこれしきの事に閉口へこたれて仕様があるものかと無理に腹這はらばいになって、ながら、二頁を開けてみるとおどろいた。昨日の喧嘩がちゃんと出ている。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)