長衫ながぎ)” の例文
孔乙己は立飲みの方でありながら長衫ながぎを著た唯一の人であった。彼は身の長けがはなはだ高く、顔色が青白く、皺の間にいつも傷痕が交っていて胡麻塩鬚が蓬々ぼうぼうと生えていた。
孔乙己 (新字新仮名) / 魯迅(著)
彼はお納戸色のリンネルの長衫ながぎて、ちょうど今独木橋まるきばしの上を歩いて来るのであった。
風波 (新字新仮名) / 魯迅(著)
その時たまたま話しに来た人は、昔馴染の金心異きんしんいという人で、手に提げた折鞄おりかばんを破れ机の上に置き、長衫ながぎを脱ぎ捨て、わたしの真前まんまえに坐した。犬を恐れるせいでもあろう。心臓がまだおどっている。
「吶喊」原序 (新字新仮名) / 魯迅(著)