長提灯ながぢょうちん)” の例文
旧字:長提燈
それで、一般に町人の若い者たちは、心掛けの好いものは、手鍵てかぎ、差し子、草鞋わらじ長提灯ながぢょうちん蝋燭ろうそくを添えて枕頭まくらもとに置いて寝たものです。
長提灯ながぢょうちんの新しい影で、すっすと、真新しい足袋を照らして、紺地へ朱で、日の出を染めた、印半纏しるしばんてん揃衣そろいを着たのが二十四五人、前途ゆくてに松原があるように、せなのその日の出を揃えて
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
向腹むかっぱらを立てたように言いながら、大出刃のさきで、繊維をすくって、一角ウニコールのごとく、薄くねっとりと肉をがすのが、——遠洋漁業会社と記した、まだ油の新しい、黄色い長提灯ながぢょうちんの影にひくひくと動く。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)