鋸屑のこぎりくず)” の例文
シンシンシンシンシンという軽い、小さいのこぎりの音が忍びやかに聞こえて、銀次の襟首へ煙のように細かい鋸屑のこぎりくずが流れ込んだ。
骸骨の黒穂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
大きな海狸うみだぬきの巣に似たタン皮の束が立ってる牧場の所を通り、木片や鋸屑のこぎりくず鉋屑かんなくずなどが山となってその上には大きな犬がほえており、また木材がいっぱい並べてある庭の所を通り
動くたんびに何処からか鋸屑のこぎりくずこぼれるという始末でございますから、お島は長二をい男とは思いませんが、かねて父助七から長二の行いのひとかわっていることを聞いて居ります上に
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
二十七、八のさかんな筋肉を持っている男だった。職人烏帽子えぼしを後ろへ落し、仕事着の片肌を脱いでいて、汗の光っている毛穴には、鋸屑のこぎりくずがたかっていた。お吉の亭主の平次郎なのである。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)