鋭刃えいじん)” の例文
だが、周馬、一角、お十夜——こう三人の鋭刃えいじんを前にして、かれは死力に汗をしぼっていた場合であるから、或いは、聞こえなかったかも知れない。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いや、それよりもこの貸家で、狂気めいた鋭刃えいじんをふるうあの男美人の正体は?
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
二十余名の原士の姿、ここに黒々と明らさまなる影を描き、かつ躍り、坂の下段、坂の上方から、弦之丞ひとりを挟んでミリミリと鋭刃えいじんを詰めあった。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その鋭刃えいじんになぎ立てられ、半数あまりの原士たちが、算をみだし、を負って、ドドドッ——と下り勾配こうばいへ押し崩れてゆくのを、夜叉やしゃのごとく追いかけて
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)