銅盥かなだらい)” の例文
お君にからだを拭かせて、島田を解いて結び髪にして、銅盥かなだらいの水で顔を洗って、彼女は自分の浴衣に着かえた。ほかの者もみな帰り支度をした。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
銅盥かなだらいに湯を取らせ、綸巻を洗ひかけしに、賀客のおとなふ声あり。其のまゝ片隅に推しやり、手を拭ひながら之を迎へ入る。
元日の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
銅盥かなだらいへ湯を汲んで新吉の脊中を拭いてやり
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
見たところ普通の金魚と変らないのであるから、まず眼のまえでためしてみなければならないというので、其月の家ではありあわせの銅盥かなだらいに湯を入れて持ち出した。
半七捕物帳:36 冬の金魚 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)