銃先つゝさき)” の例文
何でも相手の銃先つゝさきからのがれたい一心で、死物狂しにものぐるひに踠いてゐるうち、古い柳の根を発見めつけて、それにすがつてやつとこさであがる事が出来た。
そして、ひと通り、その形を指先であらためると、引金を引くばかりの持ち方で、銃先つゝさきを二三度上下に振り動かした。それから、ゆつくり、彼は歩きだした。
髪の毛と花びら (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
没しようとしてゐるのに、貴様の銃先つゝさきは頭上の柿を覘つてゐるではないか。止めよ、徒らな威嚇は控へよ。
鵞鳥の家 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
ややもすると、自分で自分が何をしているのか分らなくなる。でも、あとから考えてみると、チャンと、平素から教えならされたように、弾丸をこめ、銃先つゝさきを敵の方に向けて射撃している。
戦争について (新字新仮名) / 黒島伝治(著)