銀町しろがねちやう)” の例文
「飛んだ傴僂せむしさ。行つて聞いて見るがいゝ、銀町しろがねちやうにはそんな者は一人もないに相違ないから、——町内の人はみんなスラリとして居るぜ」
銀町しろがねちやう二丁目、三の橋の橋詰に着けた小舟が一艘、中から二人の人間が無提灯で大きな荷物を脊負つたまゝ、長崎町一丁目の方へ入つて行つたのです。
「手前は銀町しろがねちやうの方を見て居るんだ、俺は東湊町ひがしみなとまちの方を見張らう、松平越前守樣御屋敷などはどうでもいゝ」
「では申上げますが、實は親分さん、私は銀町しろがねちやうの石井三右衞門の奉公人、町と申す者で御座いますが」
銀町しろがねちやうの店には、やしなひ娘のおぬひといふ十九になる女と、手代ともなく引取られて居るをひの世之次郎とが、年寄の世話をやいて居りますが、何方も財産目當ての孝行らしくて