重畳ちようでふ)” の例文
旧字:重疊
「おのれ、長二ツ」と篠田は我と我が心を大喝だいかつ叱咜しつたして、かくとばかりまなこを開けり、重畳ちようでふたる灰色の雲破れて、武甲ぶかふの高根、雪に輝く
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
行く手に一帯の陸地と思はれるものも近づくとそれが島の重畳ちようでふだ。いつでも船の行く丈けの水路が通じて居る。
坊つちやん「遺蹟めぐり」 (新字旧仮名) / 岡本一平(著)
「禍故重畳ちようでふし、凶問しきりに集る。永く崩心の悲みをいだき、独り断腸のなみだを流す。但し両君の大助に依りて、傾命わづかに継ぐのみ。筆言を尽さず、古今の歎く所なり」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)