里川さとがわ)” の例文
夕日は昔大手の門のあったというあたりから、年々田に埋め立てられて、里川さとがわのように細くなった沼に画のようにあきらかに照りわたった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
むすめは、てらて、里川さとがわをたずねてあるきました。どこをても、あかいすいれんはいていませんでした。一つやまして、そこには、おおきないけがあります。
娘と大きな鐘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこには櫟林に平行して里川さとがわが流れていて柳が飛び飛びに生えている土手に、五六人の者がちらばって釣を垂れていた。人の数こそちがっているが、それは彼が毎日見かける趣であった。
蟇の血 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
里川さとがわの流れ迢々ちょうちょうたるも目に浮び、何処いずこよりか風のもて来る余韻悲しき、村少女むらおとめの恋の小唄も耳にる。