旧字:酸漿提燈
窓から見る松原の葭簀よしず茶屋と酸漿提灯ほおずきぢょうちんと、その影がちらちら砂にこぼれるような緋色の松葉牡丹ばかりが、却って目に涼しい。
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
街燈に火がいた。町の所々ところどころ、殊に凱旋門のあるあたりには酸漿提灯ほおずきぢょうちんが点けてある。歩いている人の多数は公園の方へ向いてく。合奏の時間が近づいて来るのである。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
高張たかはり弓張ゆみはりが門の左右へ、掛渡した酸漿提灯ほおずきぢょうちんも、ぱっと光が増したのである。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)