酔心地よいごこち)” の例文
旧字:醉心地
塩梅あんばい酔心地よいごこちで、四方山よもやまの話をしながら、いなご一ツ飛んじゃ来ない。そう言や一体蚊もらんが、大方その怪物ばけもの餌食えじきにするだろう。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
電車に乗ってから、暫らくの間信一郎は夫人に対するえいから、めなかった。それは確かに酔心地よいごこちとでも云うべきものだった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
と彼は、蹣跚まんさんというほどではないが相当の酔心地よいごこち、ふらふら「恋鳩」の裏手口を過ぎようとした時に……。いきなり内部から風をきって、彼の前へずしりと投げだされたものがある。
人外魔境:05 水棲人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)