遮那王しゃなおう)” の例文
雪の日の常磐ときわ御前に、眼をしばたたき、鞍馬の遮那王しゃなおう牛若が、僧正ヶ谷で、夜ごと、天狗てんぐから剣法をうけて、京を脱出するところへくると
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「六波羅からお預かりの者ですが、遮那王しゃなおうの行跡、目にあまるものがあります。らしめのため鐘楼へくくりつけましたゆえ、おふくみ下さい」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その吉光御前というお方こそ、自分が主命をうけて、機会さえあれば世に出そうと苦心している鞍馬の稚子ちご遮那王しゃなおう従姉いとこにあたる人なのであった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや何、私の取越し苦労です。——というわけは、お従弟いとこの鞍馬の遮那王しゃなおうどの、とうとう、山を下りて、関東へと、身をかくしてしまわれたということです」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この次、遮那王しゃなおうに会う時には、ちと、渡して欲しい物があるゆえ、立ちよってもらいたい——と、かねて、吉光きっこう御前からの書面の約束で、吉次は、来たのであった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さらにここにまた鞍馬の遮那王しゃなおう(牛若)が、じっとしていられない年ごろにもなって来ました。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朝から遮那王しゃなおうのすがたが見えない。遮那王とは、近年、師の東光坊蓮忍が与えた名である。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうそう山では遮那王しゃなおうとか名づけられているそうだが……あの牛若うしわかというわっぱじゃ
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)