遣瀬無やるせな)” の例文
恋に焦がれつつある、一人の女性にょしょうが、その恋を強いてほんのり包もうとして、もだえている遣瀬無やるせなさを、察してやることが出来るのだった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
むかしの幸福。今の苦痛……苦痛は兎角免れ得ぬにしろ、懐旧の念には責められたくない。昔を憶出おもいだせば自然と今の我身に引比べられて遣瀬無やるせないのは創傷きずよりも余程よッぽどいかぬ!
一首の意は、物ごころがつき、年ごろになって、母の哺育ほいくの手から放れて以来、こんなに切ないことをしたことはない、というので、恋の遣瀬無やるせないことを歌ったものである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
老爺ぢゞい遣瀬無やるせなまたゝきして
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
幾週日いくしゅうじつ遣瀬無やるせな