道化だうけ)” の例文
金十郎は今まで一肌脱ぎで道化だうけの銅作といふ三十男を相手に晩酌をやつてゐたのも忘れたやうに、こんな神妙なことを言ふのです。
もう、私はあなたのジエィン・エアぢやなくつて、道化だうけの着物を着たお猿か——借物の羽根をつけた、樫鳥かしどりになつてしまひます。
「諸君は諸君の……」さんざんな混亂の内に先生が退室された時、高木がわざとらしい道化だうけた聲で呶鳴つた。みんなはそれに和してわいわい騷ぎ立てながら、教室を出て行つた。
猫又先生 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
男生徒と女生徒とが田舍者の夫婦に假裝して、わざと道化だうけた取り方のもある。またお鳥自身が特に修正までしたと云ふのには、或る庭園の茶室の縁がはで、ハイカラな青年の腰かけたのが寫つてゐる。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
ひよつくりこつくり道化だうけた身振に消えてゆく。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
他に、道化だうけの世之松と、囃方の喜久治、お卷といふ中年の夫婦者は居りますが、これは二軒長屋の壁隣の家に三人で別に世帶を持つて居ります。
意表外に道化だうけて一座を笑はせるものもある。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
ルナアパークの道化だうけもの
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
小屋の中には、ドツと歡呼があがり、口上言ひの男は、舞臺の上を、道化だうけた樣子で、ピヨイピヨイと跳び廻ります。
道化だうけた樣子で取つて返したガラツ八は、間もなく椎茸髱——と言ふのは大袈裟おほげさですが、少なからず御守殿の匂ひのする、三十前後の女を案内して來ました。
「お夢とお鈴の外には、囃し方のお傳と、六助、木戸番の與三郎、道化だうけ役の金太の六人でございますが」
五郎助と貫六といふのは、半九郎一座の道化だうけで、お蝶とお輝のあでやかな手踊の間に、少しばかりの小手先の曲藝から、繋ぎの馬鹿踊り、時には木戸番もするといふ調法な若い者でした。
道化だうけた調子ながら、この娘は文治に少しばかりの好意を寄せてゐる樣子です。
危ふいところで向う岸へ這ひ上がつて、暫らくは道化だうけた顏をして見せます。