退去ずさ)” の例文
武庫川むこがわの辺まで来ると、春の小糠雨こぬかあめは急に山からと海からとの風に掻きまわされて、痛いような水粒すいりゅうが笠の下へも吹きつけてくる。——師直の馬はしばしば物驚きをしてあと退去ずさった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)