すなは)” の例文
「天皇をたすけて天の下を定めたまふ。つねつかへまつりたまふ際に於いて、すなはこと政事に及びて、たすけ補ふ所多し」と記してある。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
若し夫れ通人才子の情を寄せ興を託する、雅趣余りあらざるに非ざるも、しかも必ず其の規矩きくに出入し、動きてすなはち合ふ能はざる、是を雅にして未だ正しからずと謂ふ。
文芸鑑賞講座 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
榛軒はすなはち応へずして、貞白をして一組の歌がるたを書せしめた。貞白は已むことを得ずして筆を把つたが、此時上下かみしもの句二百枚を書くのは、言ふべからざる苦痛であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
これより後の我生涯は、おん身の爲めには死せると同じ。おん身は能く我を忘れずして、死後相見んことを期し給はんや。姫の此詞はいたく我心を動して、我をしてすなはち答ふること能はざらしめき。