転手古舞てんてこまい)” の例文
古風なかまどに茶釜を懸けて湯を沸かしていたお婆さんは、一時に押寄せた大勢の客に、転手古舞てんてこまいを演じていたのも無理はない。
かくて薄暗い奥の土間では、しばしあわただしい叱咤しった跫音あしおと、物音の転手古舞てんてこまいにつれて、まもなくまた、よろこびの声がわき、宋江、端公たちの声もようやく聞えだしていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで料理人は転手古舞てんてこまいで、材料の吟味はもとより、ろくろく庖丁ほうちょうも研ぐひまがないという景気になる。つまり濫訳らんやくの弊が生じるわけだ。もっともこれは、何も飜訳文芸に限った話ではない。
翻訳のむずかしさ (新字新仮名) / 神西清(著)
「あっち、こっち、水もり出して、みんな転手古舞てんてこまい、大へんあるよ」
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)