ちぢ)” の例文
乱濤の間に通り抜けて、イオリが滝へかゝると、峡谷はちぢまつて、水は大振動を起した、遠くの空には高い峯々が、天を衝いて、ぐるぐると眼の前を回転する、崖の上からは、石が覗いて
天竜川 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
黙示録に「天は巻物をくが如く去り行く」と歌うたも無理はない。青空は今南の一軸に巻きちぢめられ、煤煙ばいえんの色をした雲の大軍は、其青空をすらあまさじものをと南を指してヒタ押しに押寄おしよせて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
神河内の在るところは氷柱つららの如き山づたいの日本アルプスの裏で、信濃南安曇郡が北にちぢまって奥飛騨の称ある、飛騨吉城よしき郡と隣り合ったところで、南には徳本とくごう峠——松本から島々しましまの谷へ出て
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)