跳梁てうりやう)” の例文
石で叩き殺した下手人げしゆにんの見當もつかぬうちに、お月樣は一と晩毎に痩せて、江戸の街もやがて惡魔の跳梁てうりやうに都合の良い、闇夜續きになつて行きます。
しかし、事件はこれが本當の發端でした。兇賊の一團、黒雲五人男の跳梁てうりやうと、錢形平次の死鬪は、これを皮切りに展開されたと言つてもよかつたのです。
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
何々五人男といふ群盜が、江戸の綱紀かうきの亂れに乘じて、勇侠者流のやうな顏して跳梁てうりやうした頃のことです。
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
さういふ平次も、黒雲五人男の跳梁てうりやうに任せて、影もつかめない昨今を、珍らしく腐り續けてゐたのです。
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
輕捷けいせふで圖太くて、風の如く去來する怪盜鼬小僧の跳梁てうりやうは、この春の町方一統、手を燒いて居たのです。
秋の單衣ひとへがひどく潮垂れて、調度のないガランとした住居は、蟋蟀こほろぎ跳梁てうりやうに任せた姿です。
八五郎はこれだけけ合つたにかゝはらず、熊五郎の跳梁てうりやうが次第に激しくなりました。
人を斬ること人參にんじん牛蒡ごばうの如き惡鬼が、秋から春へと跳梁てうりやうし始めたのです。
夜廻りをふやし、時候しゆん外れの火の番を置き、とびの者まで動員して、曲者狩に努めましたが、冬からの跳梁てうりやうを指をくはへて眺めるばかり、かつて曲者の姿を見た者もなく、よしんば見た者があるにしても