選挙界の気風は益々ますます堕落し、ついに有志と唱うる一種の周旋人が跳梁跋扈ちょうりょうばっこして、ここに選挙の真意義は全く没却さるるに至ったのである。
選挙人に与う (新字新仮名) / 大隈重信(著)
「それに」と舞二郎はうれしそうに、「お聞き及びでもござろうが、婦女子をかすめる悪漢が跳梁跋扈ちょうりょうばっこしているようで」
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
鎌を買う資本もとでがない、従ってかの女、いや、あの野郎の狼藉ろうぜきにまかせてあるが、跳梁跋扈ちょうりょうばっこすさまじさは、時々切って棄てないと、木戸をじ、縁側へ這いかかる。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかしこの時代でも、こうした悪鬼の跳梁跋扈ちょうりょうばっこをいつまでも見逃がしてはおかなかった。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
同じく南太平洋水域に跳梁跋扈ちょうりょうばっこしたものに駆逐艦シャッガァ号というのがあった。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
あらゆる国境の荒くれ男どもが跳梁跋扈ちょうりょうばっこしたのである。
南町奉行筒井和泉守つついいずみのかみ、北町奉行榊原主計守さかきばらかずえのかみ、二人ながら立派な名奉行であったが、鼓賊にだけは手が出せなかった。跳梁跋扈ちょうりょうばっこまかすばかりであった。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)