超越てうゑつ)” の例文
二十四といふにしては、若く弱々しく見えますが、知識的な立派な若者で、貧しさを超越てうゑつした、品のよさがあります。
うか/\と、あとを歩行あるいたはう勝手かつてだが、かれ勝手かつて超越てうゑつした朝飯前あさめしまへであらうもれない。ふえむねひゞく。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ひて何か云はなければならないとなると、職業として私は英語を教へてゐるから、そこに起る二重生活が不愉快で、しかもその不愉快を超越てうゑつするのは全然物質的の問題だが
永久に不愉快な二重生活 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
随筆を清閑の所産とすれば、清閑はかねの所産である。だから清閑を得る前には先づ金を持たなければならない。或は金を超越てうゑつしなければならない。これはどちらも絶望である。
野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)